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あんず誕生1
ごまんちゃんの赤ちゃんが欲しいなって思ったのが始まりでした。
お父さんはごまんちゃんより少し年したのラスカル。
お店でいっしょに働いていた女の子が、ごまんちゃんの少し後に
おうちに連れて帰ったパピヨンの男の子。
この2人は一見逆ごまんちゃんがキリっとしたお顔で、ラスカルは優しい
女の子顔。どちらも自分達が小さい頃から育ててるから可愛く見えて
当たり前だけど、ひいき目抜きに見てもラスカルはズルイくらい可愛い。
ハッキリ言ってしまうと親の目から見てもごまんちゃんちょつと負けてる。
イザ交配の話が具体的に成りました。どちらの子も初めての交配。
仕事柄よっぽど相性とタイミングが合わないと自然に赤ちゃんを授かるなんて、
無理って実感していたので、ブリーダーさんに手伝って頂く事にしました。
生理が始まって12目から15日目の間に交配。
この頃もうラスカルは遠く丹後半島で箱入りのぼんぼんとして、
かなりねこっ可愛がりされて居たので、お泊りで預る事は絶対に無理、
お父とお母が許さないって。
お父さんの仕事の都合で連れて行けるのは1日しか無い。
しょうがない一発勝負に掛けて見る事に成りました。
素人なので始まった日を見逃してる可能性が高いので、
2日ほど早めに見てど真中の日に、結構する事に成りました。
お店の閉店後店内で交配させてもらう事になりました。
丁度その日休日で妹夫婦も遊びに来ていたので、
時間に合わせてごまんちゃんを連れて来てもらう事にしまた。
その日たまたま新大阪方面への美容の送迎と、
お家が決まった仔犬ゃんをお家まで送って帰って来たら既に
8時半を回っていました。
店内が異様な雰囲気、まずごまんちゃんを連れて来た家の妹夫婦と母親と私、
ラスカルを連れて来たお父さん&お母さん&元同僚の女の子、双方合わせて
総勢7名とブリーダーさん。
この人数には流石に色んな人を見なれてるお店の女の子も、かなり呆れていたと
思います。トリミング室で交配を始めてると聞いて、手伝っている2人を除く2家族
がソワソワしながら無事終わるのを待っていました。
初めての交配にラスカルがかなり恐がり、中々上手く乗らない。
ごまんちゃんも、妹が頭を抑えつけて無いと、恐がってラスカルを噛もうとする。
暴れる、悲鳴を上げるで中々大変な状態だったようです。
ドアが開いたり人が動くと男の子が気にして集中出来なくなるので、
様子は見れなかったのですが,約1時間後みんな疲きった顔で出てきました。
『たまごが流れてしまうから絶対に縦に抱かない様に、暫くはあまり、はしゃがせ
ない様に』とブリーダーさんからの注意。
お礼を言ってブリーダーさんを見送った後は、まだ赤ちゃんが出来てるどうかも
分からない内から、みんな出来たような気に成ってお祭り気分と言う感じでした。
これは交配の風景を見せて無いからやろうな、その場を見たらキット家の母親は
止めたやろうな。
残酷やもんな当の本人達はそれぞれの家族に抱っこされて案外ケロっとしてる。
こんなに大騒ぎしてまで交配しタンやからどうか赤ちゃんが来て居ます様に。
ごまんちゃんはラスカルのお父さんに、『名前道理にごまんと赤ちゃん生んでやぁ』
って言われてました。
それからの約2ヶ月腫れ物に触るような気の使い様で、ごまんちゃんはみんなから
それはそれは、大事に甘やかされてすごしました。赤ちゃんが出来てるかどうか
正式には出産予定の1週間前くらいになら無いと、ハッキリ分からない、5頭くらい
入ってれば羊水の分と子供の分体重が、かなり増えて分かり易いのだけどパピヨンは
数少ない子が多い様で、ごまんちゃんもその頃まで分かりませんでした。
何となく様子を見てる限りでは出来て無さそうな気もしましたが、
『諦めてたのに、家に帰って見たら勝手に生んでた』って言う話を聞いていたので、
都合良く1頭しか居てなくて分かり難いのかな?って思い込もうとしていました。
獣医さんでエコーで診てもらったら、『残念やなぁ何も居て無いわぁ』って言われ
てしまった。大体予想道理だったとは言えやっぱりショックはかなり大きかった。
予想外にショックが大きかったのはラスカルのお父さん&お母さんだった様です。
何気なく入ったペットショップで、パピヨンの女の子を衝動買いしてしまったそう
です。それは次のシーズンに交配の件で電話して初め分かりました。
ちょつとブレーク 交配の時の記念写真です
ラスカルにお嫁さんが居てる以上わざわざ、大阪まで来てもらってまでの、
交配をお願いするのはずうずうしい、かと言って丹後までごまんちゃんを
連れて行くのはお店が有るので休みとも合わず無理。
第1ブリーダーさんに丹後まで出向いてもらうと、出張料金を幾ら取られるか。。。
半ば諦めて居たのに遊びがてらラスカルを連れて、大阪まで出て来てくれると
言ってくれたので甘える事にしました。
その時は実家の側でお店を始めていたのでお店で交配する事に成りました。
やっぱり1回掛け今度こそと祈るような気持ちで掛けてもらいました。
今回は2回目と言う事も有ってラスカルも前回程は、嫌がらなかった様で30分
程で終了。
出来て居れば6月29日出産予定。どうか出来て居ます様に。
前回の落胆がかなり大きかったので、今回はあまりわくわくし無い様に、
言い聞かせてその日が来るのを待ちました。
前の時とは少しだけ違う様な気もしましたが、目にみて変わった事も無く、
もしかして今回もダメだったのかと思い始めた頃から、だんだんごまんちゃんの
お腹が大きく成ってきて、真上から見たらティッシュの箱、これは幾らなんでも
出来てるやろ。
この日の為に聴診器まで買って心臓の音が2つ以上有るか、確認しようとした
のに素人にそんなに簡単に分かる筈も無く、勿体無い買い物をしてしまった。
流石にオシッコをしにお散歩に行ってもお腹が重そうで、坂を登るのも大きく
突き出してるお腹がすりそう。
動くと呼吸も苦しそうにヨタヨタと歩いてる。
ほんの少し動くのも大変そうに見える。
待ちに待った診察の日が来ました。母親と一緒にお客さんから一番評判の良い
横井獣医さんへ。
エコーの結果、異常に大きく育った赤ちゃんが1つ居る事が分かりました。
先生によると『このお母さんが自力で出産出来るサイズを超えた、
大きな赤ちゃんなので、帝王切開をお勧めします。』自力で頭が出て来ても
そこから後が止まってしまって、下手をすると母子共に間に合わないことも
考えられるとの事。
費用は大雑把に6万くらいと言われ、嬉しい結果だったけど複雑な思いで、
獣医さんを出ました。
取り敢えずは結果を待っているラスカルに電話で報告しました。
1頭でも出来てて良かった仔犬は良いからそちらで育てて下さいって言って
くれた。何て良い奴や、ありがとう多賀やん。
今までお世話に成ってた獣医さんにも見てもらおう。そこで帝王切開を勧められ
たらしょうがない、フィラリアのお薬をもらいがてら行って見ました。
そこで『よその獣医さんで帝王切開を進められたけど、自力で生ませるのは危ない
ですか?』聞いてみると。やっぱり自力は危ないって言われてしまって、
その場で帝王切開決定。
費用を聞くと4万くらい、こっちの方が安いので前からの獣医さんにお願いする
事にしました。
大きさを見たらもう何時生んでも良いくらい大きく成ってるので、これ以上置いて
おくと大変に成る。少しでも早いほうが良いとの事、『火曜日なら手術の予定
入って無いからどうや?』って言われてその場で予約して帰りました。
この時点でも疑い深い私は実は赤ちゃんが重なって写ってて出てみたら、
3つくらい出て来るかもって微かに期待していました。
いよいよです。
本人にはあんまり変化無し、獣医さんに着くと丁度ホテルのわんちゃんのお散歩
から帰って来た院長先生と、会ったので少し世間話。生理の度に低血糖を起して
る事を言うと、『それを聞いてなかったらエライ事に成ってたかも聞いといて良
かった、今からブドウ糖点滴に入れとくわ。』『もしこれ以上子供をとる事を
考えないなら、お腹を開いた序に避妊手術も出来るで、それにしても勿体無い
なぁ、折角お腹開くんやから5つくらい入ってると、良いのにな』
って先生そんなに入ってたらそれぞれが丁度良い大きさに育って、
出て来やすいから自然に生めるやん。って思ったけどまあそれ置いといて
取り敢えず急に言われても、まだ決めかねるので今回は出産のみをお願いした。
診察室に入って直ぐに診察台にも乗せずに2本注射を打たれる、この時消毒も
しないでイキナリ若い先生が注射したので、凄く気に成ったけど続けて手術台に。
3人くらいでごまんちゃんを引っ繰り返そうとする。大暴れで仕方なくお手伝い
しながら必死で、『お利口さん』『カシコイナ』を繰り返しつつ抑えつける。
なんとかお腹を上に向けてバリカンでお腹の毛を刈って行く、その間も暴れ続けて
るので、アッチコッチに赤くキズが付いて行く。その間院長先生があれこれ若い
先生に注意と言うか細かい指示を、出すけど言い方が結構イラチ。
若い先生もカンシャクを起して『んーイチイチ言わんでも分かってるっ』って
口喧嘩を始めてる。大丈夫か?
段々麻酔が効いてきて大人しくは成って行くけど、意識はハッキリ有る様子。
お腹全面にガーゼで消毒して手術が始まってる。別に退場と言われないし気に
成るのでその場で、見られる限り横目で見る。あっという間に赤ちゃんが出て
来て、え?そんなに簡単に?って云う感じ。
先生が『大きな赤ちゃんやなシェパードの仔犬くらい有るでぇ』
手の平よりも小さい赤ちゃんこんなに小さく見えるのに大きめなんや。
でも動かない、奥さんが呼ばれて赤ちゃんをお湯で拭いて、口の中に息を入れて
蘇生させてる感じ。
良くある事なのか誰も慌てて無い。けど死んだ様にグッタリしてる、マサカこの
ままって言う事は無いよな?
かなり長い間タオルで赤ちゃんの身体を摩ったり、ブンブン振ったり。。。
見てるこっちが心臓止まりそう。全身麻酔じゃ無いからか、お腹が痛くてごまん
ちゃんが鳴いてる。思ってた寄り麻酔の効きが良過ぎたようで、途中で麻酔を止め
て様子を見る。
思えば自分の勝手で嫌がる子に無理矢理交配させて挙句帝王切開なんて、凄い残酷
な事を望んだんやなぁ。
待合室の母親は鳴き声が、聞いてられ無くて耳を塞いでる。待合室から入って直ぐ
の場所で手術してるから、聞く気が無くても聞こえて来る。
何とか赤ちゃんが息をし始めた様で、小さな箱にタオルを敷いて、その中に入れら
れてやっと手渡された。ハツカネズミ見たい白くて牛さん模様が点々と有るお鼻が
ピンク。
言い難かったけど勇気を振り絞って『胎盤を持って帰りたい』と、お願いして
ビニール袋に入れてもらった。これは冷凍保存して置いてイザと言う時の強力な
免疫。初乳と同じくらい大事な物。
赤ちゃんに安心したらごまんちゃんが心配に成ってきた。
泣き声が聞こえる痛いヨウって言ってる様に聞こえる。
ごめんな酷い事してるな頑張ってな。
子供が出て来るのが早かった割りに、お腹を閉じるのに時間が掛かってる様に感じた。
最後に先生から『本当に子宮このまま置いといて良いんやな』
って確認されてキッパリ『ハイ』って答えた。
色んな計器類の音が気に成る。心拍数がかなり弱く成ってきて先生が慌ててブドウ
糖の量を増やした。あっという間に緊迫した空気に変った。
機械の音が段々騒々しく成って数字がどんどん落ちて行く。
ごまんちゃん大丈夫?このまま死んだらどうし様。今まで聞いてきた色んな症例を
思い出して気ばっかりが焦るけど、何も出来無い。気が散って邪魔に成るのか、
手術が終わったら電話で連絡するので、先に子供を連れて帰るように言われた。
少し目を離した空きに子供が死んでたという事例が一杯有るので、今晩は寝ずの番を
して下さい。その他ミルクの与方、オシッコの出させ方などをおそわって、追い出
される様に家に帰った。
ごまんちゃんが気に成るけど、赤ちゃんのミルクも気に成るし、体重も毎日計らん
と行かんしパニック寸前、説明では後30分くらいで終わるって言ってたのに2時間
経っても電話が来ない。
やきもきしながら待ってやっと3時間後に電話。こんなに時間が掛かってると言う
事は、やっぱり途中かなりヤバカッタのか?悪い想像が次から次えと沸いてくる。
『手術終わりました、何か有れば電話で知らせますが、何もなければ明日お返し
出来ます』って電話が切れた。
取り敢えず手術は無事に終了したんや〜良かった。一安心した所で赤ちゃんの体重
を計る。料理用の計りに乗せると160グラム。ミルクを何とか飲ませめん棒で、刺激
してオシッコを出させる。
ウンチはまだ出ない。今晩1晩2人で張り付いて2時間ごとにミルク。
明日の朝ごまんちゃんの元気な顔が見れます様に。
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